Home >理事長所信

理事長所信

スローガン

一心果敢
~次代を切り拓く未来の創造~

基本理念

創始の精神を心に燈し、如何なる困難な時代でも、輝く未来を切り拓くため、果敢に挑戦する意思を持つ

基本方針

  • 1.青年経済人よ、夢を描き未来を創造せよ
  • 2.高崎に根付く小さな文化を通じ地域愛を育め
  • 3.小さな芽は持続可能な地域を創る
  • 4.地域を惹きつけるブランド力の向上
  • 5.魅力あるJAYCEEとなれ
  • 6.本質を忘れず、存続し続ける組織運営

所  信

【はじめに】

 幼き頃、私の夢はとても漠然としていて、お金持ちになる事でした。金属加工業を営む家に3人兄弟の末っ子として生まれ、裕福とはいえませんが、県外の私立大学入学まで、大きな経済的苦労なく育ててもらいました。そんな、私の短い人生において、初めての岐路は2007年頃になります。サブプライムローン問題を引き金に全世界に影響を及ぼしたリーマンショック時に、将来の自分の姿を考える機会が多くありました。幼き頃から漠然とした夢はありましたが、そのために今、自分が何をしなくてはいけないのか、真剣に考えた事はなかったのです。年功序列、終身雇用が崩壊する経済の中で、私はひとりで生きていくために必要なスキルを求め、経済の勉強を始めました。そのような時に出会った、ITバブルで成功した若手経営者が輝かしく見え、社長という存在に憧れをもった時期がありました。
 私の父親も社長でありましたが、作業着を汚し、ものづくりをしている昔気質の職人であったため、社長としての憧れはありませんでした。時代のトレンドに乗っている若手経営者はとても魅力的に見え、幼き頃の夢を叶えるための手段として、経営者になる事を目標に20代半ばを過ごしました。しかし、誰しも簡単に成功できるわけでもなく、家庭の事情もあり家業を手伝うため、高崎で仕事をする決断をしました。スーツを格好良く着回し、携帯電話を片手にさっそうと歩き、夜は情報収集のために社交場に繰り出す日常を夢見ていた私は、家業を手伝う事でやる気も目標もなくなっていました。
 数年後、仕事にも慣れはじめた時、転機が訪れました。友人に誘われ、高崎青年会議所の存在を知り、日常に刺激を求め入会しました。具体的な活動内容は理解していませんでしたが、高崎まつりやサケの稚魚放流事業など、私にも馴染み深い行事に関わっている団体だと知りました。誰かがやればよい事を自分事として行っているこの組織に愛着を持つまで、時間はかかりませんでした。今、私が住まう高崎のためにできる事は何があるのか、何に対して不安を抱え、何に対して期待をするのか。私のやりたい事や、新たに興味が湧いた出来事に高崎というフレーズが増えたのは青年会議所の影響でした。自分事だけでは達成できない目標も、誰かのため、まちのため、未来のためと考えた時、以前掲げていた「お金持ちになる」という夢には果てがないと気付きました。私たちが今、高崎市に住めるのは、先人たちが明るい豊かな社会の夢を描き、次世代のために果敢に挑戦し、運動を起こしたからです。次世代を担う子どもたちのため、彼らが活躍できるまちにするため、私たちは青年経済人としてもこのまちの発展に尽力し続けなければいけません。
 そのためには小さな社会課題の芽を摘み、時代の流れがどのように進んでいくのか、先見の目をもって物事を考える必要があります。青年会議所は社会課題を解決する組織であり、志を同じうする者が集まり、多様性と持続可能な地域をつくる事を未来ビジョンとしています。高崎に住まう人々が個性輝く夢を描けるまちとするために、私たち高崎青年会議所メンバーがまずは夢を描く必要があります。その夢に向かって果敢に挑戦し、未来を切り拓いていきましょう。

【未来創造】~青年経済人よ、夢を描き未来を創造せよ~

 私たちは青年会議所メンバーであると共に、青年経済人です。では地域の方々が、私たち青年経済人に期待している事は何でしょうか。大小様々な期待や要望があるとは思いますが、私は地域経済の牽引だと考えます。
 地域の未来を牽引するリーダーとして多くのアイデアを実現し、地域経済をリードする必要があります。私たちが描くビジョンは高崎の未来を創り、地域住民を巻き込んだ大きなムーブメントを起こす事ができるのです。そのために私たち青年経済人は企業を通じて社会貢献を行う事が必要であると考えます。
 では、社会貢献とは何であるのか。その答えは様々あると思います。私が思う社会貢献とは「世間の困り事」を解決する事です。その課題がとてつもなく大きなものであり、一個人の力では対処できない時、企業の力が必要となります。そして企業ができる最大の社会貢献とは人を雇用する事ではないでしょうか。
 少子高齢化に伴う労働人口の減少、低い労働生産性、地方と都市部間、大企業と中小企業間のデジタル格差、過去30年間横ばいの賃金水準など、日本の労働市場が抱える課題は、相互作用し複雑化しており、情報の搾取に疲弊している人も多いかと思います。「仕事の未来レポート2023」のデータによると、今後5年間で、10.2%の成長と12.3%の減少を通じて、およそ25%の仕事が変化すると予測されています。調査したおよそ800社の推定によると、6億7300万件の雇用のうち、6900万件の新たな仕事の創出と8300万件の仕事が失われると見込まれています。これは、現在の雇用の2%に相当する1400万件の純減というデータが算出されました。
 2023年に行われた世界経済フォーラム、年次総会では「分断化した世界における協力」をテーマに数多くの議題と課題の中で大きな影響を与えるトレンドとして、「グリーンへの移行」、「デジタル化」、「現在の人手不足」の3点を挙げています。この課題解決には、スキルアップとリスキリングの加速が重要です。しかし、企業だけでこの問題を解決する事はできません。企業と行政が協力して、すべての人のために未来を創っていく必要があります。企業は、個人が時代の変化に合わせて獲得したスキルを十分に発揮できる環境の整備を、リスキリングの取り組みと並行して進めていく必要があります。
 人材をリソースやコストではなく、ヒューマンキャピタルとして捉え直す事が重要であり、この事が、日本の働く未来に希望と可能性をもたらし、デジタル化やグリーン化を基軸とした経済と社会の変革を後押しするでしょう。

【文化探究】~高崎に根付く小さな文化を通じ地域愛を育め~

 「音楽のある街・高崎」。物心つく頃、私はそのフレーズが当たり前であり、高崎は音楽の街であると認知していました。10代半ばでバンド活動を始めた私にとって、「音楽のある」というフレーズには大変親近感を覚えていました。「高崎にしかない」というものは、高崎で生まれ育った私にとって、ごく身近にある、当たり前でした。しかし生活の拠点が県外に移ると、今まであった当たり前がなく、ものさびしくなった事を思い出します。それは高崎を出て気づいた事であり、高崎の魅力に改めて気づくきっかけでもありました。群馬音楽センター、白衣観音、少林山達磨寺など歴史を紐解くと更なる魅力がある文化財も多々ありますが、地域に住まう方の風習や伝統も多くの魅力を感じ、人生を豊かにする事柄であると考えます。
 東京にある「池袋」という街が、あれだけ活性化した歴史には「鉄道」と「百貨店」が大きく寄与している事はご存知でしょうか。最終目的地をつくる事によって、多くの人が集まる街となった一例です。
 では高崎がより多くの人を魅了する目的地になるには、このまちに根付いた文化を掘り起こす事が必要です。「高崎市といえば○○である」と言われる文化財や文化遺産は県内外多くの人々に周知されていると考えます。有名なものを広く展開していく事も大切ですが、大小様々な物語から新たな高崎の文化を掘り起こし、まちに更なる魅力と誇りを与えていきましょう。文化に愛着を持つ事で、高崎がもっと好きになるのではないでしょうか。

【共育推進】~小さな芽は持続可能な地域を創る~

 私は高崎で生まれ、高崎で育ち、大学進学の過程で県外地域を経て、また高崎で暮らしはじめました。何故そのような選択をとったのか、当時は深く考える事もありませんでした。今思うと、生まれ育ったこの高崎は、これから家庭を持ち、自身の子どもたちと共に育む地域として適していると感じていたのではないでしょうか。では、良い子育て環境とは何であるのか。それは「体験」を通じて幅広い好奇心を育む事ができる環境です。
 子どもの生きる力を育むものとして「原体験」というものがあります。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚など、自分の五感をフルに使った体験の事であり、絵本、図鑑、テレビを通して、限られた感覚器官のみを使ってできる「疑似体験」とは違うものです。実物を見て、能動的に触れ、感覚を自分の中で認識していく事で、子どもは自分の基礎をつくっていきます。自分の感覚を通して体験した事は、生きていく上での価値観やものさしになり、子どもにとっては、この世界を知り、適応していくためにも重要な事です。
 原体験を重ねていく事は、数や言語などの認知能力を育み、洞察力や俯瞰力を養う事ができます。それは、原体験が多いほど、あらゆる事象がさまざまな知識と結びつきやすく、物事を理解する力も高まるからです。自分の五感を最大限に活かした体験をする事で「こうしたらどうかな」「なんでこうなんだろう」などと好奇心が刺激され、様々な事に興味を持つきっかけとなるのではないでしょうか。
 例えば「サケの稚魚放流事業」では実際に川を訪れ、親と育てた稚魚を放流する体験事業は、川の流れや冷たさを感じながら、育てた稚魚が力強く生きていく命の姿を見る事ができます。サケが帰還した時、川が汚れていては生きていけないという問題を知り、環境問題を考えるきっかけというのは原体験ならではの特徴です。
 地域に住まう子どもたちにより良い経験を与えられる事は、親と子の関係だけではなく、地域の大人が共に学び続ける姿勢が不可欠です。高崎で体験した事が自身の人生に大きく影響し、子どもたちの未来の発展に寄与する運動を進めていきましょう。

【広報開発】~地域を惹きつけるブランド力の向上~

 「高崎青年会議所で一緒に活動しませんか。」そのような問いかけをすると、地域にある商工会と勘違いされる方が私の周りには多くいます。商工会と勘違いされないように、「JCに所属しています。」そのように答えると、「飲み会が多い団体ですよね。」と質問がきます。私自身も以前は親族や知人に青年会議所関係者がいなかった事もあり、入会するまでは何をしている団体であるのか、深く理解はしていませんでした。入会し多くの例会や事業、諸会議に参加した事で、理解が深まったと感じます。それからは組織の歴史や本質などを先輩に教えられ、自分なりにその答え合わせをし、自身の考えを確立しました。
 青年会議所はサービスや物を販売する企業ではありません。私たちが何故、活動をしているのか、明確な存在意義やその意義が生み出す地域や市民への貢献を想起させる事が必要だと考えます。
 昨今、インターネット、SNSの急激な普及により、誰もが多くの人に情報を発信できると共に、情報収集が安易にできる時代となりました。総務省が発表している、SNSを介した情報発信状況の統計データによると、「SNSを利用しているが、自ら情報発信する事よりも他人の書き込み等を閲覧する事の方が多い」又は「SNSを利用しているが、自らはほとんど情報発信せず、他人の書き込み等の閲覧しか行わない」と回答した人が、利用者全体の65%以上を占めているという結果でした。これに対し、「SNSを利用して自ら情報発信を積極的に行っている」と回答した人は10%程度にとどまっています。多くの方に発信できるからこそ、「どのように情報を発信すれば多くの方に知ってもらえるのか」、「どんな発言が多くの人の共感を生むのか」このような事に意識が傾いている現状が発信力の鈍化を招いているのではないでしょうか。この組織のコンセプト、そして私たちJAYCEEの活動をしっかりと共有し、一人ひとりが組織のメッセンジャーとなる事で、ブランド力の向上につながると信じています。またそれは唯一無二の個性となり魅力と変わるでしょう。どれだけ素晴らしいものでも、伝えなければ無いものと同じです。アウトプットこそ最大の学びとなります。私たちの情熱を発信し、地域の誇りに変えていきましょう。

【会員】~魅力あるJAYCEEとなれ~

 高崎青年会議所は多くの仲間に出会える環境です。社会に出て、これだけ多くの方に出会える環境を一から構築するというのは、とても困難で時間と労力を使うのではないでしょうか。この環境に身を置く事が最大のメリットと感じ、入会を決めたメンバーも多くいるでしょう。しかし、青年会議所は40歳までという制約があり在籍できる時間は限られています。様々な挑戦ができる機会や、苦楽を共にしてきた仲間と活動できる事は当たり前にあるものだと思ってはいけません。今、私たちが青年会議所活動を続けられているのは、この組織を絶やさぬよう尽力してくださった先輩諸兄姉の情熱が残っているからであると考えます。その情熱は私たちの誇りであり、これから更なる火を燈し、未来へ紡ぐ組織と成長させましょう。
 JCIミッションにある「青年が社会により良い変化をもたらすためにリーダーシップの開発と成長の機会を提供する」のが青年会議所です。志を高く持ち、周りの人を突き動かすアクティブシチズンへと成長する事が、社会で活躍できるリーダーであると考えます。青年会議所には多くの機会があります。受動的ではなく能動的に責務を全うすれば、世のため人のために役に立ったという大きな達成感と、多くの仲間を得る事ができます。
 「奉仕」「修練」「友情」のJC三信条の基、利他への精神を忘れずに、英知と勇気と情熱をもって活動していきましょう。そんな魅力あるJAYCEEは「地域に最も必要とされる人財」へ進化を続ける事ができると私は信じています。

【礎】~本質を忘れず、存続し続ける組織運営~

 私たちがするべき事は、やり方は変えても、理念や目的は変わる事はありません。時代と共に手法や表現は変化してきましたが、明るい豊かな社会を築き上げるために活動をしている組織であるという事は、72年の長き歴史から受け継がれているものではないでしょうか。青年会議所とは「会議室」の意味を持ち、多くの事業を展開していくにあたり、核となる会議を行っています。この会議が円滑に運営できているからこそ、地域の人々に私たちの活動を届ける事ができています。ルールを守るのはとても重要な事ですが、ルールだけを守り、本質から反れた運営は本末転倒です。ルールをつくるという視点も持ち合わせ、何故この規則や規律があるのか、本質をしっかりと理解し、時代の変化に対応できる組織運営を進めていきましょう。
 また、青年会議所は私たちの時間とお金を用いて運営されています。それらは自身の家族や会社スタッフのサポート無くして使えるものではありません。その大切な時間とお金がこの組織の運営や地域に健全に使われているか、しっかりと見極めなければいけません。コンプライアンスを遵守するにはこの組織に対する知識を高め、地域の方々から信頼される組織運営を守っていきましょう。それが高崎青年会議所の価値を高める事に繋がります。

【結びに】

 私たちが夢を持ち、描いた未来を創造するには、存在する今の世界を変える事が必要です。家庭、組織、社会がより良く変化するにはつまるところ「人」であると考えます。誰かの夢に描かれるのを待つのではなく、自ら未来を創造し、挑戦する事で力強く進んでいきます。個人の夢が集まり、大きなひとつの未来を創るため、皆心を一つに、果敢に挑戦をしましょう。その未来を次代へ受け継ぐために。

ページのトップへ ▲